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February 20, 2005 Sunday 

モップの精は深夜に現れる

近藤史恵 実業之日本社 Joy novels

『天使はモップを持って』のキリコちゃんが再び登場。大好きなシリーズなのであっという間に読んでしまった。
なにしろ主人公が可愛い。ファッションセンスも魅力的だが、彼女の物の考え方に強く惹かれる。素直であるということはこんなにも気持ちのいいことなのかと。

気持ちがいいのは、キリコの働きっぷりもそうだ。ビルの清掃係という、若い女の子が選びそうもない仕事が彼女の天職なのである。掃除の苦手な私にとってはひたすら尊敬するのみ。
掃除の詳しい描写は、著者の近藤史恵さん自身が、ビル清掃のアルバイトをしていた(と、ご自身の日記に書かれていたことがある)ときの経験が生かされているのだろう。

軽いテイストの短編集ではあるが、起きる事件はかなり深刻なものも混ざっている。そしてラストに収録されている一本は、キリコ自身の家庭生活(なんと彼女は人妻なのだ)にも触れられ、心にポッと暖かいものをもらったように終わっている。

前作の『天使はモップを持って』と合わせて、ぜひ女性の方に読んで欲しい本だ。

ISBN4-408-50448-3 ¥860

投稿者 Miyuki Noma : 07:25