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February 04, 2005 Friday 

切断都市

芦辺拓 実業之日本社

「都市」についての芦辺氏のこだわりはこれまでの著作にも多く見られたが、あとがきでご本人が触れているように、これは彼の都市小説…特に大阪を舞台にした作品の集大成と言える作品になっている。
「切断都市」というキーワードも魅力的だが、その意味するところと隠された事件の動機のリンクはとても興味深かった。

雑誌連載された作品と言うことで、後半やや急いでまとめられた印象はあるものの、中盤の都市論は圧巻。欲を言えば、とても動かし易い立場に設定された主人公についての記述に、もう少しビジュアルに訴えかけるようなものがあるといいと思う。作中何度も「警察官らしからぬ風貌」という表現は見られるのだが、もう少し具体的にどんな様子の人物なのか知りたいところだ。
だた、彼はこの作品で初登場の探偵役なので、今後他の作品に描かれることがあれば次第にわかってくることなのかも知れない。

全くの余談だが、昔、お台場で「都市博」が計画されたとき、テーマ曲を担当するはずだったのは横山輝一だった。
「Lovin’ You」のヒットの後、少々足踏み状態だった彼にとって、この仕事はある意味正念場だったに違いない。しかし、シングルCDが発売された直後「都市博」中止を公約した都知事が当選し、ファンの期待は淡い夢に終わった。
現在横山輝一は、EXILEへの曲提供(昔はZOOにも曲を書いていた)やプロデューサーとして活動しているが、この一件がなければもしかするとまだシンガーとして活躍してくれていたかも知れない…と思うのはかつてのファンの幻想だろうか。と、そんなことを思い出してしまった作品である。

ISBN4-408-53467-6 ¥1800+税

投稿者 Miyuki Noma : 07:29