………… 質問と回答 …………
いっちゃんさんからのご質問
Q. 背景で資料など全くなく入れられない場合、でたらめに入れるわけにもいかないですし、図書館や本屋でも資料が見つからない。そう言う場合はどうすればいいのでしょうか?
A. 背景の種類にもよりますが、全く想像もつかないもの、というのはあまりないのでそれに近いものなどを参考にして描きます。
どうしてもわからないもの、というのは、そもそもそれを漫画の中に登場させようとは思いませんので、めったにそういうことはないようです。今は、インターネットという強力なツールがありますので、資料探しはだいぶ楽になりました。
Q. だいたいのプロの方は1ページどれぐらいのペースで描いてらっしゃいますか?
A. 絵だけの場合と、ネームなどを含めた場合で答えが違ってきます。私の場合、絵だけでしたら、下絵が約30分。ペン入れ15分です。(アシスタントが描く時間は別です)
ネームの時間も含めると、漫画を一本完成させるのにかかる時間、ということになりますが、50ページくらいの長さのものでしたら、ストーリーが固まってからネームに2日、絵に3日くらいだと思います。
シンさんからのご質問
Q. ボクはもともと絵を描くことが好きで漫画を描き始めました。絵のほうはちょつとずつ上達していくのが分かるのですが、肝心のストーリーがいつまでたってもうまく作れません。描きたい話はいくつもあるのですが、うまくまとまりません。小説とか映画で研究しているのですが…。
プロの先生方には何かストーリー作りの秘訣があるのですか?
A. ストーリーを作るのは「慣れ」が必要です。常に見た物や聞いたことに対して「なぜそうなったのか」「これからどうなるのか」と、考える癖をつけると話作りに慣れることができます。
「うまくまとまらない」というのは、構成力の問題ですが、どんな話でも基本は起承転結です。ただ、漫画の場合は、転と結の部分を一つに考えて3部構成くらいのつもりでいたほうが、展開がスピーディーになります。仮に16ページの作品を描くのなら、扉で1枚、残りを5枚づつに分けて起・承・転結と、作っていくとわかりやすいでしょう。
具体的にコマ割りなどで悩んだときは、自分の好きな漫画の一部のコマを実際に「読んで」みると参考になります。つまり、「一コマ目、学校全景」「二コマ目、主人公のアップ」などのように何が描かれているのかを再確認してみるのです。漫画を楽しんで読むのとは違った発見がありますよ。
高谷アリサさんからのご質問
Q. アシスタントなしでは、漫画は描けますか?(応募する、デビュー前の漫画家も、アシスタントを雇ってるんですか?)
A. デビュー前にアシスタントを雇うことはあまりありません。ただ、たまに、友達に手伝ってもらう人もいます。プロの漫画家でもアシスタントを全く使わずに描いている人もいますし、仕上げにちょっとだけという人もいます。
私の場合は、内容がミステリということもあって、なるべくリアルな背景を描きたいですし、それには一人では無理だと考えて長い間アシスタントをお願いしていました。(お願いしていた当時は1回の仕事(40ページくらい)で4人の方が5日間くらいでした。)
Q. 印刷された漫画はそれぞれいろんなフォント(文字のスタイル)がありますが、それをどうやって指定すればいいのですか?「ここを丸文字にしたい」とか?
A. フォントの指定は特別な場合を除き、編集部が行います。でも、使いたいフォント(漫画では写植と言います)があれば、そう書いておけばそれを使ってもらえます。(フォントの名前などは、そのための本が出ています。)正確な名前を知らなくても、「丸文字で」と、書いてあればそう打ってくれます。
ただ、各雑誌には、普通の会話はこれ、モノローグはこれ、というように標準で使う写植がある程度決まっているので、どうしても、とこだわる理由がないのなら特に指定する必要はないでしょう。
複数の方からのご質問
Q. 大学に進学するべきか、専門学校の漫画科に行こうか悩んでいます。
A. 受験で悩んでいる方が多いせいか、立て続けにこういう内容のご質問をいただきました。あくまでも私見でお答えしますが、もしも自分の置かれている環境が許すならば、なるべく大学進学をおすすめします。これは、「大学に行く」というだけでいろいろな経験ができるということと、漫画の描き方は特に学校で教わるものではないという二つの理由からです。
最近では漫画を教える学校も沢山あるようですが、結局テクニックなどの解説で終わってしまっているのではないでしょうか?
漫画のテクニックなどは、たとえば現場のアシスタントをした方が、はるかに勉強になりますし、ストーリー作りなどは、もちろん教えてもらえません。また、各学校が、ダイレクトに漫画の編集部にコネがあるわけではないので、卒業後の投稿や、アシスタントの応募に有利に働くとは思えないのです。(それを学校の‘売り’にしているところもありますが、あまり信用しない方が賢明です。)
もちろん、同じ志を持つ友達に巡り会えるという利点はあります。でも、なにも漫画科でそういう友達を見つけなくても、もちろん大学の漫画サークルなどもあるし個人的にやっているサークルなどの方が、趣味が一致していて良いかも知れません。もしも、大学受験に失敗したり、専門学校にしか進学できない場合でも、グラフィックデザイン科などの方が、漫画以外の技術などについて学べると思います。
付記しておきますが、私自身は大学には進学していません。高校卒業後はデザインの専門学校に行きました。でもそれは、あくまでも「時間稼ぎ」だったので、学校にはほとんど行かずにアシスタントに明け暮れていました。そのことは全く後悔していませんが、なにか漫画以外に興味のあることがあって、それを大学で勉強できるのならば、あとでプロとして活躍したときに必ず役に立つと思います。
受験生のみなさん、どうか頑張って下さいね。
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